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2008.12.07 Sun
Fun Home: A Family TragicomicFun Home: A Family Tragicomic
(2006/06/08)
Alison Bechdel

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Alison Bechdelの存在を知ったのは、kdさんのブログで紹介されていたから。
kdさんも書かれている通り、日本では無名だが、アメリカではレズビアン・コミックの第1人者。代表作の「Dykes to Watch Out For」は20年以上もゲイ雑誌や新聞に掲載され、何ヶ国語にも翻訳されている。これをamazonで購入したかったが、そのときたまたま在庫切れで2週間以上待つということで、上の「Fun Home」を購入した。

買ってから気がついたが、こちらは「Dykes...」のようなコミックではなく、「graphic novel」と呼ばれるものだった。グラフィックノベルとは、「挿絵付き文学作品」とでも言えばいいのか、一般的なアメリカン・コミックよりも、シリアスで大人向け、文学的な作品を指す。
今手元に「Dykes....」もあるが、趣は全然違う。読みやすさで言ったら「Dykes...」だけど、心にしみて何度も読みたいと思うのは、「Fun Home」だ。

   alison1.jpg
              Alison Bechdel

Alison Bechdelは私と同じ1960年生まれ。
この作品は、lesbianである彼女の自伝で、題名の「Fun Home」は、父親の家業の「Funeral Parlor」(葬儀場)に引っ掛けている。
Alisonは、大学生のとき、家を離れ、自分がレズビアンだと確信し、両親に手紙を書く。
しばらくして母親からの電話で、父親がゲイであること、長年、教え子(父親は高校の英語教師もしていた)やAlisonもよく知るベビーシッターなど、若い男性たちと関係を持っていたことを知る。

そして、それから4ヵ月後、父親は不慮の自動車事故で、この世を去る。
彼はその2週間前に、母親から離婚したいと切り出されていた。また事故の状況から、自殺だと、アリソンは確信する。
「もしかしたら、自分のカムアウトが、父の死の引き金になったのではないか。」
ばかげていると思いながらも、そうした思いを消せずにいるアリソン。恐らくその思いこそが、20年後に、この作品を書こうと駆りたたせたのだろう。
アリソンが幼い頃から父親が亡くなるまでの父子の濃密な関係、父がゲイであるために(母は結婚直後から知っていた)、家族に落とした様々な影、そしてアリソン自身のセクシュアリティについて・・など、時にユーモラスと言ってもいいような淡々とした筆致で語られる。
でも淡々としているからこそ、胸に迫るものがあった。

bechdel_fun_home.jpg

上は、アリソンが手紙でカムアウトした後、初めて家に帰ったときの1シーン。
このときは、勇気を奮い起こしてゲイに関する話題を切り出すが、父の目の中に恐怖の色を認め、それ以上話せなくなる。
でもその後、ふたりで映画を観に行ったときのやり取りなど、感動的だった。
「子供の頃、女の子になりたかった」と呟く父に対して、「私は男の子になりたかった!」と叫ぶ娘。あらゆる意味で良く似た父子が、カムアウトをきっかけに、より親密になり、心を通い合わせた・・と思われたのだが。

父親がなぜ死を選んだのか、誰にもわからない。わからないが、アリソンにとって、
「父の終わりは、私の始まり」であり、「父の嘘の終わりは、私の真実の始まり」だった。
クローゼットなゲイで、44歳で死を選んだ父と、オープンリー・ゲイとして生きてきた娘。
この作品の制作には、7年を費やしたと言い、その間にアリソンは父親の年齢を超えた。
発表後すぐにベストセラーになり、雑誌「TIME」の2006年ベスト1ブックにも選ばれた。
そんな風に広く受け入れられたのは、特殊な状況下にある家族の肖像を描きながらも、普遍的な親子の愛について、描いているからだと思う。

でも私はビアンなので、当事者として、「もしかしたら自分がこの父親の立場になるかもしれない」、と思いながら読んだ。親子でビアン、ゲイなんてめったにないと思っている方も多いかもしれないが、そうした血縁関係にある人同士のゲイ、ビアンはよく耳にする。1番多いのは、兄弟姉妹(『Lの世界』のDanaと弟のように)だけど、叔母と姪や、異母姉妹で(そうとは知らず)別々に育って大人になって会ったらお互いビアンだった、という人もいた。
同性愛者に関する研究はまだあまりされていないが、遺伝的要素はかなりあると思う。もちろん、全然ない人もいるだろうけど、要因のひとつとして、確実にあると思う。(そう確信できるほど、まわりに多い。)

Essential Dykes to Watch Out forEssential Dykes to Watch Out for
(2008/12/04)
Alison Bechdel

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つい先日、「Dykes to Watch Out for」のシリーズ11巻からの特選本、「Essential Dykes to Watch Out for」が発売になった。(新作も少しプラスされている)
こちらの方が読みやすいので、まずこちらを読んで、気に入ったら「Fun Home」を読むのもいいかもしれない。

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2008.09.14 Sun
わ~、10日ぶりの更新!
やっと連休に入って、だらだらと過ごせて嬉しい。

秋になると、無性に本が読みたくなる。
以前は、秋と言わず1年中本を読んでいたけど、ネットを始めてからは読む量が減った。
今読んでいる本は、「ぼくには数字が風景に見える」と「The Curious Incident of the Dog in the Night-time」。
前者はアスペルガー症候群でサヴァン症候群の青年(ゲイでもある)が書いた本。
後者はアスペルガー症候群の少年が書いたという設定の本。英語だけど、簡単なので多分高校生でも読める。
両方ともアスペルガー(高度自閉症)関係なのは、偶然。ああ、偶然でもないか。以前、仕事でアスペルガーの子供と関わっていて、それを知ってて前者は息子が貸してくれたものだし、後者は私の個人レッスンの英語の先生が薦めてくれた。どちらも面白くて、早く続きが読みたいと思う。

その私が関わった、アスペルガーの子供と会うのは週に1回だったが、最初のうちは闘いだった。いろいろなものを壊された。
毎回、会った後、今度こそ断ろうと電話に手が伸びかけた。自閉症専門のところがあるからそちらに行ってくれ、と母親に言おうと何度も思った。それが出来なかったのは、その子には双子の弟がいて、さらに重度の障害があったから。母親の気持ちを思うと躊躇して、あと1回だけやってみよう、と思った。
そんな風にして半年以上経ったある日、転機が訪れた。それまで、我慢に我慢を重ねて1度も感情的に怒ったことのなかった私が、ついに切れた。火山の爆発のように、怒った。後で、しまった・・・と思ったが、そのときは、止められなかった。
でもそれから、私たちの関係が変った。それまでは、恐らく私は彼にとって、風景の一部だった。それが、人になった。そして、友達になった。

結局その子とは、5年間関わった。障害があっても、その成長ぶりや広がる可能性には、目を見張るものがあった。最初に会ったとき、彼は7歳だった。記憶力や計算力には卓越したものがあったけど、誰かとコミュニケーションをとる姿は、想像もできなかった。
それが、思春期の入り口に立ったとき、初めて彼は、人と積極的に関わりたいと思うようになった。学校で、友達が欲しいと切望するようになった。偶然、近所に同じような同級生が引っ越してきて、彼の願いは叶った。
私とは、もうお別れの時期だった。

もうひとり、長く関わってきた子供で、場面緘黙症(かんもくしょう。selective mutism)の女の子がいる。初めて会ったのが8歳のときで、今は14歳。家庭ではごく普通に会話が出来るのに、それ以外では誰とも話が出来ない。ただの引っ込み思案などではなく、心理的な障害だが、世間の認知度が低く、周囲からは「一言も発しない変わり者」としか認識されない。特に日本では殆んど研究もされていないので、ネットの記事など見ても、誤りが多いなあと思う。

彼女とコミュニケーションをとるのは大変だけど、今は彼女の目の動きで、YesかNoか、不満か満足か、理解しているのかいないのか、ほぼわかるようになった。
私には、「さようなら」とだけ言ってくれるが、それを母親に話したら、学校の先生にも誰にも「さようなら」と言ったことがないのに、と言って驚いていた。それを聞いたとき、初めて報われた気がした。
そして先日、初めて彼女と電話が出来た。出来たと言っても、私が何かを問いかけ、「はうーー」(はい)と「んんーー」(いいえ)を繰り返すだけだったが、今までは家に電話をしても、親か兄が代わって話をしていたので、大きな一歩だった。
彼女はとても優秀で、特に英語のテストはいつも学年トップなのに、会話が出来ないので、成績はぐっと下がってしまう。これからの彼女の道のりを考えると、暗澹たる気持ちにもなるが、誰も彼女の人生を代わってあげられない。どうか自分で乗り越え、切り開いていってほしいと思う。

本の話に話題を戻そう。
ビアン物で最近読んだのは、中山可穂の「サイゴン・タンゴ・カフェ」。

サイゴン・タンゴ・カフェサイゴン・タンゴ・カフェ
(2008/02)
中山 可穂

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短編集で、最後の「サイゴン・タンゴ・カフェ」だけが、ビアン物。
他の中山作品と同じく、読み始めたら引き込まれて一気に読んだ。読んでいる最中は、ああなんて巧いんだろう、いい作品だ、と思ったのに、読後、時間が経つにつれて、なんだかもやもやとした感情がこみ上げてきた。
「胡散臭い・・・。」

これを「真実の愛」と言われてもなあ、と思う。ネタバレになるので詳しくは書けないが、これは違うだろうと思った。人を愛するってこういうことではないだろう、と。いや、愛は書いてないのか、恋だから、いいのかな・・?

私は中山作品は、「ケッヘル」以外は全て読んでいる。文章、構成、巧いなあと思うし、特に異国の描写は最高。アジアには興味のなかった私でも、読むたびアジアの異国の街へ、行きたくなる。読み始めると作品世界に引き込まれるし、面白いと思う。同じ60年生まれ、同じ時代を生きてきたビアンとして、他の作家にはないsympathyも覚える。
でもこの人の作品、特に恋愛小説の特徴でもある甘さ、青臭さが、どうも鼻につく。少女マンガのようだと思ってしまう。
1番最初に読んだ「感情教育」も、幼い子供の母親である主人公の心理が、違うだろうと思った。勿論母性には個人差があるけど、幼い我が子を思う母親の気持ちはこんなもんじゃないだろうと思った。当時付き合っていた恋人がモデルらしいが、そうだとすれば、相手の心の深淵がもうひとつ覗けなかったか、中山可穂のために恋人が呑みこんだ無数の言葉があったような気がする。

文句を言いつつ、ほとんどの作品を読んでいるのは、やっぱり好きなのかな。よくわからないが、期待はしている。今度こそ、甘さを超え、一皮剥け、本物の恋愛小説が読めるんじゃないかと、いつも期待して読み始める。読んでいる間は作品世界に引き込まれ、夢中になって読んでいるが、読後に不満がつのる。
もっとこの人の中にあるmonsterと対峙した作品が、読みたいと思う。

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