ビアン通信 女子サッカー/同性婚・カムアウト(2)総集編
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2011.08.01 Mon
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  スウェーデンの期待の若手MF(24歳)、今大会3得点!!のLisa Dahlkvist

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   シュートを決めて喜ぶDahlkvist。17番。ワンバックに次ぐ得点ランキング4位!

サッカー・FIFA女子ワールドカップ(2)」の中で、”ゲイダーは動かないが怖い存在のLisa Dahlkvist”と書いたが、その直後に彼女がカムアウトしていることを知った。
WC前のインタビュー記事の中で、「ガールフレンドと友人たちがドイツに応援に来てくれる」と語っている。

カムアウトと書いたけど、インタビューの中でさらっと言っているだけで、カムアウトではないかも。
スウェーデンにしてもノルウェーにしても、2009年に同性婚が施行されてからはセクシャリティを特に隠す必要もなくなり、オープンに語ったり同性婚する選手が増えた。わざわざ「カムアウト」する必要もないのだろう。
そもそも異性愛者はカムアウトしないのに、同性愛者だけがカムアウトする・・・というのもおかしな話だ。同性同士の結婚や権利が異性愛者と全く同等に認められている国では、「カムアウト」が死語になる日が近いかもしれない。

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         ノルウェー代表の若手FW(23歳)、Isabell Herlovsen

しかし上のIsabell Herlovsenの場合は、今年に入ってノルウェーのテレビでカムアウトした。
こちらにそのときの記事が出ているが、興味深い。曰く、
Herlovsenが家族や友人にカムアウトしたのは10代のときだった。最初は心配したものの、まわりの全ての人に受け入れられた。
セクシャリティをオープンにしている選手はたくさんいるが、彼らの多くはメディアに語る必要はないと考えている。それはプライベートなことだから、と。でも私は、オープンにしていくことが重要だと考えている・・・と。

なぜ重要だと思っているのかということは書かれていなかったが、彼女の父親は元サッカー選手で、ノルウェー代表でもブンデスリーガでも活躍していた。男子のサッカー選手にもゲイの選手はいるはずなのに、カムアウトする選手は全く出てこない。昨年、スウェーデンのAnton Hysenという選手がカムアウトしたが、世界で2人目と言われている。最初にカムアウトしたのは1990年のことで、その選手(Justin Fashanu)はスキャンダルに巻き込まれて自殺した。
女子の方はサッカーでもテニスでもオープンにする選手はたくさん出てきているのに、男子は皆無と言っていい。世間からより男らしさを求められ(ゲイの人が決して男らしくないわけではないのに)、スポンサーを失うことを恐れてカムアウト出来ないと言われている。
そうした男子の状況や、世界的な状況(同性愛の権利が認められない国がまだまだ多い)を考えれば、ノルウェーのような進んだ国の選手がカムアウトしてくれるのは、やっぱり意味のあることだと思う。

その他、ノルウェーで有名なのは、元代表ゴールキーパー(またもやGK!)でワールドカップ5回出場の名選手・Bente Nordbyと現キャプテンのIngvild Stensland。

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       Bente Nordby。2005年に雑誌Se og Horでカムアウト。

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       Nordbyのパートナー、デンマーク代表のDorte Dalum Jensen。リヨンで同居。

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   ノルウェー代表キャプテン・MFのIngvild Stensland。インタビューでカムアウト

Stenslandは雑誌や新聞などでのカムアウトはしていないが、度々インタビューで語っている。
こちらにNordbyとStenslandのセクシャリティに関する言及がある。

さて、正キーパーAngererがカムアウト、第2キーパーHollが同性婚のドイツ。
数多くの選手にレズビアンの噂があるが、この2人以外に公式にカムアウトしている選手はいない。が、この選手。

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          ドイツのエースストライカー、Inka Grings

日本戦でも活躍していたので、覚えている人も多いと思う。
私はドイツで1番いい選手だと思っている。今大会は早々と負けて2得点だったけど、得点王候補のひとりでもあった。
そのGringsは、数年前にタブロイド誌にアウティングされた。同じく代表選手のLinda Bresonikと2000年頃から5年間付き合っていたが、当時のクラブチームの監督(男性)絡みの三角関係があり別れた・・・という内容だった。(こちら
その三角関係の真偽はわからないが、そのスキャンダルの影響か、2007年2008年とリーグ得点王だったにもかかわらず、代表には呼ばれなかった。(Bresonikは呼ばれた)
2009年から再び代表に戻り、その頃からクラブチームで一緒だったSonja Fussと噂になっていた。2009年と2010年にドイツの年間MVPに選ばれたが、その授賞式に2回とも、他の選手が伴侶や恋人同伴で出席する中、Fussを伴って現れた。これが事実上のカムアウトかと言われている。

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     左からSonja Fuss、Inka Grings、監督のNeid、元カノLinda Bresonik

上の写真、クリックで拡大する。
Fussの指輪とGringsの指輪は全く同じものに見える。GringsのTシャツはレインボー?
BresonikとGringsの指輪も似ていて、え!?と思ったが、これは別物。(他の写真で確認)
WCのときの様子や写真を見ていても、ふたりはすっかり良い友人に戻ったようだ。

ちなみに監督のNeidさんにもレズビアンの噂があるが、調べてもわからなかった。Neidさんは元ドイツの女子サッカー界の歴史に残る名選手3人のうちの1人と言われている。Martina Vossという元選手(現・FF USV Jenaのコーチ)もそのひとりだが、グリングスはBrestonikの前はそのVossと付き合っていた。練習キャンプ場で大喧嘩して別れたそうで、そのときのことを今は男性と結婚したVossが雑誌などで語っている。
Vossはもともとノンケだったようで、Bresonikもグリングスが初めての人と言っている。
グリングスにはナブラチロワと同じ匂いがする。ノンケ落としの神、でも長続きしない、選手としてはすごい、感情の起伏が激しい・・・そんなGringsから今後も目が離せない。

Neidさんの話が出たところで監督話題。
前回、アメリカの監督がカムアウトしていると書いたが、イングランドの監督もカムアウトしている。

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                イングランド監督、Hope Powell

Powellのwikiにも、オープンリーレズビアンとしての記載がある。
イングランドにも、チームの要・Kelly Smithのようにレズビアンの噂が絶えない選手もいるが、カムアウトしている選手がいないので、わからない。ぜひ監督に続いてほしい。

ところで、澤選手がanti-racism(差別撤廃)宣言を、準決勝の前にした。
anti-racism宣言は、準決勝の前に4チームの各主将がするもので、WCや欧州選手権など大きな大会では必ず行われているが、その中に「性的指向」(sexuality)の言葉があった。
「日本代表チームは、人種、性別、種族的出身、宗教、性的指向、もしくはその他のいかなる理由による差別も認めないことを宣言します。」

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普段もその言葉が入るのかと思って調べたら、男子の欧州選手権などではなかった。
宣言にこうした言葉が入ったり、準決勝、決勝とスタンドの1番前にレインボーフラッグがあったのは、アフリカでの女性プレーヤーの置かれる厳しい現状があるからだと思う。

WC開催の数日前に、New York Timesに「In African Women’s Soccer, Homophobia Remains an Obstacle」という記事が載った。要約すると、
2年前にナイジェリア女子チームの監督に就任した女性監督Ucheは、就任当初からチーム内にいるたくさんのレズビアンの選手の存在に頭を痛めてきた。でもこの2年間で、元アシスタントコーチの男性はレズビアンの噂のある選手をどんどんやめさせ、Ucheは神父を呼んで噂のある選手のために祈ってもらったり助言をしてもらったり、また選手全員に毎日聖書を読ませた。その結果、レズビアンは一掃されたという。
このことを今年3月にUcheはナイジェリアの新聞に語り、その中でさらに「同性愛は“dirty issue” であり、“spiritually, morally very wrong”」とも言っている。こうした発言に対して、なぜFIFAは抗議や声明を発表をしないのか、アンチレイシズムに取り組んでいるのに・・・というのが、NY Timesの記事の主旨。

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          WCに出場したナイジェリア代表の選手たち。 一掃? ・・・全員ビアン?

NY Timesの記事では、ナイジェリアよりもさらに過酷な南アメリカ、ジンバブエの状況も取り上げている。
このふたつの国では「corrective rape」(同性愛を矯正するという名目でのレイプ)が横行している。
2008年、南アフリカの女子サッカー代表でレズビアン活動家でもあったEudy Simelaneが、大勢の男にレイプされた後、全身を何十ヵ所も刺されて亡くなった。
南アではこうした事件が起きてもきちんと法で裁かれることはほとんどないが、さすがにこれは世界中から非難と注目を浴び、主犯格の男には終身刑が下った。こうした刑が下ることは画期的なことだそうだ。
ヨハネスブルグには唯一のオープンリーレズビアンのサッカーチームがある。彼女たちの中にはレイプのサバイバーも含まれており、常にレイプや死と隣り合わせにいるが、それでも本当の自分でいられるこの場にいられるのは幸せ・・と、こちらのビデオで語っている。3分間だし、とても良いビデオなので、よかったらぜひ見てほしい。

このNY Timesの記事が出てから1週間後に、FIFAの女子サッカー理事がナイジェリア監督のコメントを批判し、FIFA会長から監督に話をするとコメントした。(こちら
こうした経緯を考えると、スタンド最前列にレインボーフラッグがあったのも、こうした騒動を鎮静化したいという考えからFIFAが用意したものか、同性愛者団体を招いたのではないかと思う。

北京オリンピックの時もサッカー選手のことを調べたが、まだカムアウトしている選手は少なかった。ここ2年ほどで急速に増えた。ヨーロッパを中心に、同性愛者に異性愛者と同等の権利を認める国が増え、今後ますますカムアウトする選手が増えるだろう。
でもそうして、同性婚だ、カムアウトだ、いやもう同等だからわざわざカムアウトする必要もない、という国がある一方で、レズビアンとわかっただけで選手生命が絶たれたり、それどころか命が奪われたり、カムアウトが命がけの国もある。

では日本は?と考えると、そのどちらからも遠い。アフリカのように宗教的な何かがあって禁忌というわけでもなく、ヨーロッパのように同性婚が認められるのもまだ遠い話に思える。
日本では、やっぱり同性愛者(LGBT)はいないことになっている。他国は同性愛を忌み嫌うであれ認めるであれ、「どこにでも同性愛者は存在する」という共通認識があるが、日本にはない。
レズビアンっぽい人がいても、「あの人レズかな?・・・いやまさか」というのが一般的な反応だと思う。だからマスコミも、そうした発想も配慮も持たずに「彼氏は?」と尋ねる。
レズビアンというと男っぽいイメージが強いが、そうでない人もたくさんいる。スウェーデンの選手たちは、調べるまで私も全くわからなかった。

カムアウトも、個人的なことだから無理にする必要はないと思う。
でも本当に、誰かひとりでもいいからカムアウトしようというアスリートが日本でも出て来てくれたらなあと思う。(サッカーに限らずあらゆるスポーツで)
ハンドボールのGroもテニスのStubbsも、カムアウトしようと思ったきっかけは、同性愛に悩む子供たちに勇気を与えたいと思ったからだと言った。日本なら、子供は勿論大人の同性愛者にもたくさんの勇気を与えるだろう。
ただ彼女たちは、メディアに公表する以前に家族や友人や仲間たちにカムアウトし、受け入れられている。何があっても味方だと言ってくれる家族や仲間の後ろ盾があって初めて、世間へのカムアウトも可能になる。
そう考えると、日本の社会全体の意識が少しずつでも変わっていくことが、何より大事だろう。



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mossamnl(masaka)
なかなか読み応えのある記事でございますなあm(。-_-。)m しかし女子サッカーって・・そういう土壌があるのかそういう傾向の人が集まりやすいのかw皆さんめっちゃビジョカッコイイですねー(こんなに美しいのに“dirty issue”もないもんだww)ヨーロッパのこうした有名選手がカムするのって、国民性というか民族性みたいなものも感じますがそれでも、すごいことだなあって思ってしまいます。ホント日本って日本的というか曖昧模糊として「触らぬ神に祟りなし」的なところで「記憶にございません」的空気を漂わせて、公でなくコヤケでやってなさいみたいなものを感じますwその中で自分も流れに紛れてるようなもんだなあと思うのです。アフリカのこの現状を知ると(これを観てアフリカの女性性器切除のことを思い出しました。かなり凹んでおります)自分の環境へのちょっとした安堵感と憤りと悲しみを感じました。こうしたスポーツを通じて少しでも世界の差別に対してのpressureになればいいと強く思っております。白紙で生まれてきた人間は「何でもあり」なんだと思っております。人間が人間である所以は生物学的な部分以外のところにあるのです。そしてその部分はどこまでも可能性の領域として現実を創造していく領域なのです・・何書いてるかわからなくなってしまいましたww深い取材ごくろうさまでありました♪
2011.08.01 Mon 23:08 URL [ Edit ]
noriko
The NewYork timesのビデオをありがとう。世界中で逆境に敏感な人々がその逆境を押しのけてカムアウトする。私はそれは本当に素晴らしいことだと評価します。日本では一見スムーズに見えすぎるためまだまだ社会の事実、ひいては自分の真実を見失っていると思う。ありのままの自分を生きることよりも事を荒立てたくないことが美徳とされるベールがあるためだろうか。個人的には逆境から這い上がってくるときに人が感じ、苦悩し、学び、そして賢くなることのほうを大事にしたいと思う。そんなことを考えます。
2011.08.02 Tue 22:47 URL [ Edit ]
nanashi
同性婚が認められる国が増える一方で、同性愛者とわかっただけで生命の危機に立たされる国があるという現実は、非常に痛ましく胸が裂かれるような思いです。

カムアウトしやすくするためには「同性愛(者)を差別的、嘲笑的に扱うのは間違っている」という空気を作っていくことが必要だと思います。
2011.08.04 Thu 13:00 URL [ Edit ]
koo
>mossamnlさん
ワールドカップで素敵なレズビアンにうはうはする一方で、
このアフリカの現状を目にしてこれは絶対に伝えたいと思っていました。
根本にあるのは女性蔑視と根深い宗教的な問題。
いやもう女性蔑視なんて言葉が軽すぎて違和感を覚えますが。
日本には、そうした宗教的な問題があるわけでもなく、カムアウトしたからと言って命の危険に晒されるわけでもないのに、カムアウトするのが難しい社会なのが本当に残念です。大多数と違う、世間の常識から外れる、というだけなのに。常識も不変のものももちろんあるけど、時代と共に変わるものもたくさんあるから、「結婚?男?女?」という時代が来ることを祈ってます。
2011.08.11 Thu 22:43 URL [ Edit ]
koo
>norikoさん
たしかに。日本ではわざわざカムアウトしたり波風立てなくても、同性同士みんなそれぞれに幸せを築いているわけで。有名人で同性愛者の人も個人の幸せを一番に考えれば、カムアウトなんて危険を冒す必要もないし。
そう思う一方、あのNYタイムズの記事やビデオを見ると、胸が押しつぶされそうになる。
ああした状況の中でも本当の自分自身にプライドを持って、カムアウトしてサッカーを続けている人たちがいるのは凄いことだよね。

>nanashiさん
アフリカの状況は本当に痛ましく胸が引き裂かれる思いですね。
「同性愛(者)を差別的、嘲笑的に扱うのは間違っている」というのは、頭でわかっているつもりでも、ちょっとしたことでゲイやレズビアンを笑いの種にしたりということが日常でもしょっちゅうありますよね。
このなでしこの快挙にわく日本ですけど、少しでもそういうことを考えるきっかけになってくれたらなあと思います。
2011.08.11 Thu 23:07 URL [ Edit ]
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2011.08.30 Tue 09:33
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