ビアン通信 イシンバエワの発言とロシア事情(8/18追記あり!)
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2013.08.17 Sat
今月16日、棒高跳びで有名なイシンバエワの発言で、世界中が揺れた。

その前に、ロシアでは6月に「同性愛プロバカンダ(宣伝)禁止法」なる法律が成立した。

この物議を醸しているロシアの法律は、6月末にプーチン大統領の署名によって成立した。
この法律の下では、「非伝統的な性的関係のプロパガンダ(宣伝)」を未成年者に広める
行為に罰金が科されるほか、ネットやニュースメディアで自らの意見を表明した場合でさえも
制裁が科される。また、同性愛者による集会も禁じられる。

ウォール・ストリート・ジャーナルより)

この法律はソチオリンピックを念頭に置いて作られたもので、ロシア国民はもちろん、そこを訪れる選手や観光客も対象となる。

法律では外国人に対する罰則として、最大10万ルーブル(約30万円)の罰金、
15日間の禁錮刑、国外退去、ロシアの再入国禁止などを規定している。


どこからどこまでが宣伝活動なのか、曖昧な点は多いが、この法律は人権侵害と世界中から反発を招いた。
各地でソチオリンピックボイコットの動きが起こり、アメリカのオバマ大統領も痛烈に批判した。
イギリスの女優、ティルダ・スウィントンはロシアでのこうした動きに反発し、クレムリン宮殿の前で下記の写真を撮り、自分のエージェントに送ってツイッターで拡散した。(ちなみにこのHodellさんもゲイ。)

tilda-swinton-russia-with-love.png
  
さすがティルダ!アライのオスカー女優!逮捕できるもんならやってみろ!
ていう気概を感じる。

話は逸れたが、そんなこんなで迎えたモスクワでの世界陸上。
すでに先月、オランダの撮影クルーがこの法律に則って身柄を拘束され、世陸でも一波乱あるのでは・・・と思っていた。

先ず、800メートルで銀メダルに輝いたアメリカのnick symmondsが、メダルを母国のLGBTの友人たちに捧げると言い、同性愛宣伝禁止法に反対を表明した。
続いて、走り高跳び、スウェーデンのEmma Green Tregaro(エマ・グレアン・トレガロ)がロシアの同性愛者支持を表明するため、レインボーのネイルで競技した。

Emma-Green-Tregaro.jpg

Emma-Green-Tregaro3.jpg

他にも、同じくスウェーデンの200mの選手もレインボーネイルをして競技した。

エマ自身はストレートだが、エマのコーチでもあり夫でもあるトレガロ氏は、長年Kajsa Bergqvist(カイサ・ベリークヴィスト)のコーチだった。以前このブログでも紹介した、カムアウトした元走り高跳び・スウェーデンのメダリスト。記事はこちら!

トレガロ氏も自身のツイッターなどで、同性愛者支持、ロシアの法律反対を表明している。
カイサもいまロシア入りをしており、不安な毎日を送っていたと言い(オープンリーゲイだから)、エマのパフォーマンスの事は事前に知らなかったそうだ。
トレガロ夫妻は、仲間のために戦っているんだなあ。

こうした動きを受けて、インタビューでイシンバエワはこのロシアの法律のことを聞かれた。
日本では、”イシンバエワ「法の順守を」”とか
女王イシンバエワ、「ソチ五輪で反同性愛法に従うべき」”と、郷に入れば郷に従え的なことを言ったという報道がされていた。
たしかにエマのパフォーマンスについて聞かれたときに、そうした発言もしていたが、世界中で物議をかもしたのはその部分ではない。

“If we allow to promote and do all this stuff on the street, we are afraid about our nation because we consider ourselves like normal, standard people,” she said.
(もし街でそんなこと(同性愛活動)をするのを認めたら、私たちの社会は恐ろしいことになる。だって私たちはノーマルでスタンダードな人間だから。)

「Isinbaeva」でニュース検索すると、昨日までこの一文がトップに表示された。
海外の何十というニュースサイトを見たが、どこも取り上げているのはこの言葉だった。
続いて、

“We just live with boys with woman, woman with boys. Everything must be fine. It comes from history. We never had any problems, these problems in Russia, and we don’t want to have any in the future.”
(男性は女性と、女性は男性と共に生きている。それで全てがうまくいっている。歴史的に見ても、ロシアではなにも問題がなかったし、これからも問題が起きてほしくない。)

つまり、同性愛者の活動なんて認めたら、男は女と、女は男と、といった私たちノーマルでスタンダードな人々の社会が脅かされる、ということだ。
これに対して「なんて偏狭な」「ホモフォビアだ」と物議を醸し、BBCでも元有名選手たちに「愚かな意見」「もっと広く世界を見た方がいい」と言われていた。


  これが問題の会見。

なぜ日本のマスコミは、「If we allow...」以下の部分をもっと取り上げないんだろう、郷に入れば郷に従えの部分しか取り上げないんだろう、と非常に不満に思っていたが、よく考えたら、日本には「ホモフォビア」という言葉も「同性愛者の権利」なんていう言葉も、ないも同然だ。意識しているのは、私たち当事者くらいだろう。
欧米では、ホモフォビアが人種差別同様の大きな問題だったり、「同性愛者の権利」が人間の基本的人権の重要なひとつだったりしても、日本では議論にさえのぼらない。
「男は女と、女は男と・・まあそうだよね。それがノーマルだし。」
そんな感じ方の日本人が多いんじゃないか。

現在は、「isinbaeva」でニュース検索すると、

"English is not my first language, and I think I may have been misunderstood when I spoke yesterday,"
(英語は母国語じゃないから。昨日の発言、誤解されたかも)

がトップに出て来る。
あまりの反響の大きさに驚いたのか、翌日すぐに弁明し、
「私は仲間のアスリートのどんな意見も尊重するし、同性愛者に対するいかなる差別にも反対です」
と言っている。

上のYoutubeを見ると、特に最初の部分はかなり自信なさそうに話しているし、まあ多分国に言わされているんだろうなあ、と思う。
このニュースを最初に聞いたときに思ったことは、
「国に言わされているのか?」ということと、
「各国のスポンサーがついているはずだけど、大丈夫なのか?」
ということ。
調べたら、adidasや東芝など現在4つのスポンサーがついているけど、契約は今年いっぱい。
それでやめるつもりだったが、今回の優勝を受けてロシアの大手化粧品会社がスポンサーに名乗りをあげた。契約は、リオまでの3年間で3億円。(ソースはこちら
欧米では、同性愛宣伝禁止法への抗議としてロシアのウォッカ不買運動が起こり、大手ウォッカ製造会社のひとつが「私たちはLGBTを支持します」とのコメントを発表。
そんなこんなへの牽制の意図でイシンバエワに言わせたのかもしれないが、結果的に火に油を注ぐことになった。

最後に、レインボーネイルのエマのコーチであり夫であるトレガロ氏のツイッターでの発言を紹介したい。
エマは、本日17日の23時より決勝。

"I think love is the strongest power our soul can create. Good luck Russian government with trying to defeat it."
(愛は、私たちの魂が造り得る最強の力だ。ロシア政府、それを打ち負かせるならやってみて。)

「追記」(8/18):
emma.jpg

規則違反だからレインボーネイルをやめるようにとIAAF(世界陸上競技連盟)からスウェーデン協会に通達があり、スウェーデン協会に懇願されて、エマはレインボーの代わりに”love”の意味で赤いネールで決勝に臨んだ。

しかも、エマは197をクリアして最後の5人に残ってメダル争いに加わったのに、一度も映像が流れなかった。最初はTBSのせいかと思ったけど、ロシアの放送をネットで見て気がついた。ロシアからの国際映像だから、エマを映さない!エマの番になると、他の競技の録画や表彰式に切り替えていた。
結局、同じ197を1回目で成功したロシアのチチュリナが銅メダル。(3回目で成功したエマは5位)
でももしエマが銅をとっていたら、どうしていたんだろう?
ソチでも、同性愛者支持を表明した選手は一切映さないのか?
これは、ソチではボルト級の選手がこうした行動をとらないと、ダメなのか?
いや、こうした小さな勇気ある行動の積み重ねが、大きく世界を変えていくと信じたい。



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torisugari
女子マイルリレーの表彰式でロシアの選手が
キスしたことが話題になってるらしいです。
2013.08.22 Thu 05:42 URL [ Edit ]
koo
>torisugariさん
表彰台でロシアの女子選手ふたりが口で口でキスしたのを、
「同性愛宣伝禁止法」への抗議ではないか?と話題になったニュースですね。
あれは翌日、
「抗議でもなんでもない。同性愛とは関係ない。長年一緒に練習してきた仲間との祝福のキスだ」
と本人たちが否定しています。

あのニュースを最初に聞いたとき、「まさか!有り得ない!」と思いました。
私はバレー好きで、大きな大会は必ず見に行ってますが、世界選手権でロシアの女子選手同士が口と口でキスしているのを何度も見ました。
初めて見たときはびっくりしたけど、それはロシアの習慣だ、と知りました。
今回、あのキスに驚いて「反同性愛法への抗議ではないか?」と騒いだ主に欧米のマスコミは、調べればすぐにわかることなのに・・と思いました。
あげく、ロシアの大臣だったか政治家に、
「西側はなんでもかんでも自分たちを基準にして、ロシアの事をでっちあげる」
と言われてました。
こうしたことがあると、本当に大事なことや断固ロシアに抗議しなければならないときに、「またか」という反応しか返ってこないんじゃないか、と心配になります。
2013.08.24 Sat 14:40 URL [ Edit ]
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