ビアン通信 今こんな本を読んでいる
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2008.09.14 Sun
わ~、10日ぶりの更新!
やっと連休に入って、だらだらと過ごせて嬉しい。

秋になると、無性に本が読みたくなる。
以前は、秋と言わず1年中本を読んでいたけど、ネットを始めてからは読む量が減った。
今読んでいる本は、「ぼくには数字が風景に見える」と「The Curious Incident of the Dog in the Night-time」。
前者はアスペルガー症候群でサヴァン症候群の青年(ゲイでもある)が書いた本。
後者はアスペルガー症候群の少年が書いたという設定の本。英語だけど、簡単なので多分高校生でも読める。
両方ともアスペルガー(高度自閉症)関係なのは、偶然。ああ、偶然でもないか。以前、仕事でアスペルガーの子供と関わっていて、それを知ってて前者は息子が貸してくれたものだし、後者は私の個人レッスンの英語の先生が薦めてくれた。どちらも面白くて、早く続きが読みたいと思う。

その私が関わった、アスペルガーの子供と会うのは週に1回だったが、最初のうちは闘いだった。いろいろなものを壊された。
毎回、会った後、今度こそ断ろうと電話に手が伸びかけた。自閉症専門のところがあるからそちらに行ってくれ、と母親に言おうと何度も思った。それが出来なかったのは、その子には双子の弟がいて、さらに重度の障害があったから。母親の気持ちを思うと躊躇して、あと1回だけやってみよう、と思った。
そんな風にして半年以上経ったある日、転機が訪れた。それまで、我慢に我慢を重ねて1度も感情的に怒ったことのなかった私が、ついに切れた。火山の爆発のように、怒った。後で、しまった・・・と思ったが、そのときは、止められなかった。
でもそれから、私たちの関係が変った。それまでは、恐らく私は彼にとって、風景の一部だった。それが、人になった。そして、友達になった。

結局その子とは、5年間関わった。障害があっても、その成長ぶりや広がる可能性には、目を見張るものがあった。最初に会ったとき、彼は7歳だった。記憶力や計算力には卓越したものがあったけど、誰かとコミュニケーションをとる姿は、想像もできなかった。
それが、思春期の入り口に立ったとき、初めて彼は、人と積極的に関わりたいと思うようになった。学校で、友達が欲しいと切望するようになった。偶然、近所に同じような同級生が引っ越してきて、彼の願いは叶った。
私とは、もうお別れの時期だった。

もうひとり、長く関わってきた子供で、場面緘黙症(かんもくしょう。selective mutism)の女の子がいる。初めて会ったのが8歳のときで、今は14歳。家庭ではごく普通に会話が出来るのに、それ以外では誰とも話が出来ない。ただの引っ込み思案などではなく、心理的な障害だが、世間の認知度が低く、周囲からは「一言も発しない変わり者」としか認識されない。特に日本では殆んど研究もされていないので、ネットの記事など見ても、誤りが多いなあと思う。

彼女とコミュニケーションをとるのは大変だけど、今は彼女の目の動きで、YesかNoか、不満か満足か、理解しているのかいないのか、ほぼわかるようになった。
私には、「さようなら」とだけ言ってくれるが、それを母親に話したら、学校の先生にも誰にも「さようなら」と言ったことがないのに、と言って驚いていた。それを聞いたとき、初めて報われた気がした。
そして先日、初めて彼女と電話が出来た。出来たと言っても、私が何かを問いかけ、「はうーー」(はい)と「んんーー」(いいえ)を繰り返すだけだったが、今までは家に電話をしても、親か兄が代わって話をしていたので、大きな一歩だった。
彼女はとても優秀で、特に英語のテストはいつも学年トップなのに、会話が出来ないので、成績はぐっと下がってしまう。これからの彼女の道のりを考えると、暗澹たる気持ちにもなるが、誰も彼女の人生を代わってあげられない。どうか自分で乗り越え、切り開いていってほしいと思う。

本の話に話題を戻そう。
ビアン物で最近読んだのは、中山可穂の「サイゴン・タンゴ・カフェ」。

サイゴン・タンゴ・カフェサイゴン・タンゴ・カフェ
(2008/02)
中山 可穂

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短編集で、最後の「サイゴン・タンゴ・カフェ」だけが、ビアン物。
他の中山作品と同じく、読み始めたら引き込まれて一気に読んだ。読んでいる最中は、ああなんて巧いんだろう、いい作品だ、と思ったのに、読後、時間が経つにつれて、なんだかもやもやとした感情がこみ上げてきた。
「胡散臭い・・・。」

これを「真実の愛」と言われてもなあ、と思う。ネタバレになるので詳しくは書けないが、これは違うだろうと思った。人を愛するってこういうことではないだろう、と。いや、愛は書いてないのか、恋だから、いいのかな・・?

私は中山作品は、「ケッヘル」以外は全て読んでいる。文章、構成、巧いなあと思うし、特に異国の描写は最高。アジアには興味のなかった私でも、読むたびアジアの異国の街へ、行きたくなる。読み始めると作品世界に引き込まれるし、面白いと思う。同じ60年生まれ、同じ時代を生きてきたビアンとして、他の作家にはないsympathyも覚える。
でもこの人の作品、特に恋愛小説の特徴でもある甘さ、青臭さが、どうも鼻につく。少女マンガのようだと思ってしまう。
1番最初に読んだ「感情教育」も、幼い子供の母親である主人公の心理が、違うだろうと思った。勿論母性には個人差があるけど、幼い我が子を思う母親の気持ちはこんなもんじゃないだろうと思った。当時付き合っていた恋人がモデルらしいが、そうだとすれば、相手の心の深淵がもうひとつ覗けなかったか、中山可穂のために恋人が呑みこんだ無数の言葉があったような気がする。

文句を言いつつ、ほとんどの作品を読んでいるのは、やっぱり好きなのかな。よくわからないが、期待はしている。今度こそ、甘さを超え、一皮剥け、本物の恋愛小説が読めるんじゃないかと、いつも期待して読み始める。読んでいる間は作品世界に引き込まれ、夢中になって読んでいるが、読後に不満がつのる。
もっとこの人の中にあるmonsterと対峙した作品が、読みたいと思う。

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tibimama
場面緘黙症について、いままで名前は聞いたことあるけど~~、程度の認識だったのですが、少しだけ、ネットで情報を集めたりしました。
とても難しいなぁ、というのが感想ですが、ともかく少しだけ知ることができてよかったです。
2008.09.16 Tue 15:25 URL [ Edit ]
koo
>tibimamaさん
私がはじめて緘黙症のことを知ったのは、20年以上前なんですが、
その頃と認知度は殆んど変わってないようです。
当事者の方の書かれたブログを読むと、ああそういう風に考えているのか、
とか少しわかってきます。
今はネットがあるので、それを活用して、少しずつでも
世間に知ってもらうといいんじゃないかなあ、と思います。
2008.09.19 Fri 00:32 URL [ Edit ]
tibimama
そうですね。
ネットは、知らないことを知るための大事なツールになっています。

ただ、間違った(過失であれ、故意であれ)情報もたくさん流れているので、読解・判断力(リテラシー能力)を持って読み取っていかないといけないのも確かです。

知ってもらおうとする側にとって、丁寧に、正しい情報を流し続けるのは大切ですよね。

また、お金儲けに利用としているひとたちはやはり検索しても上位に来ます。
それが、適切な情報であればいいのですが、詐欺的なものが多く上位に来ていると、どうすればいいんだろう、と、思ってしまいます。(上記に書いたように、情報を流し続けるしか、いまのところできていませんが、それだけではだめなような気もしています。)
2008.09.20 Sat 06:12 URL [ Edit ]
koo
>tibimamaさん
そうなんですよね、wikiなんかでも誤りが多いですね。
ウブな方たちは、そのまま信じてしまうことも多いだろうと思います。
当事者の声って、やっぱり大事にしたいですね。
2008.09.20 Sat 23:18 URL [ Edit ]
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2008.09.21 Sun 00:22 [ Edit ]
koo
>-さん
お久しぶりです!!
お元気でしたか?
こうした話題に反応していただけると、嬉しいです。
ビアンネタではないけど、私としては一生懸命書いているので。
こうした子供たちから学ぶことって大きいですよね。
苦労も大きいけど、子供とのやりとりで感じたこと、学んだことは
一生忘れられないですよね。
アスペルガーの男の子は、来ると決まってやる手順があったので、
それがなくなった今、ちょっと寂しいです。
またぜひ遊びに来てください!
2008.09.22 Mon 01:15 URL [ Edit ]
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